まず押さえたいポイント

アピゲニンは、カモミールの花に含まれるフラボノイドです。脳の神経の高ぶりをしずめる側の受け皿につく成分として1995年から研究されてきました [1] 。

ただし人での試験があるのはカモミールのエキスのほうで、単離したアピゲニンを飲んで睡眠を測った試験は、公開されている範囲では見あたりません。

なぜ「寝つき」と関係するの?

脳には、神経の高ぶりをしずめる側の伝令であるGABAと、その受け皿があります。受け皿には、GABA本人がすわるくぼみのほかに、別のくぼみがもうひとつあります。そこに何かがはまると、GABAの伝令が届いたときの反応が強めに出ます。睡眠薬や抗不安薬として使われるベンゾジアゼピン系の薬は、この別のくぼみを使う薬です。

1995年、カモミールの花の抽出物を少しずつ分けていった研究が、この別のくぼみに弱く腰かける成分を取り出しました。それがアピゲニンでした [1] 。

アピゲニンが、GABAの受け皿にあるGABA本人とは別のくぼみにつくとして研究されてきたことを示した図

研究では何がわかっている?

  • 1995年の研究では、アピゲニンが受け皿につく強さの目安は4マイクロモル毎リットルでした。マウスの行動試験で出たのは不安に関わる行動の変化で、その量では眠くなる様子や筋肉がゆるむ様子は出ていません。量を10倍にしてはじめて軽い鎮静がみられ、動きまわる量が26%、探索行動の指標が35%下がっています [1] 。
  • 6か月以上続く不眠の34人にカモミールエキス270mgを1日2回、28日間とってもらった2011年の試験では、主要な評価項目だった睡眠日誌の指標(総睡眠時間・睡眠効率・寝つくまでの時間・途中で目が覚めている時間・睡眠の質・目が覚めた回数)はいずれもプラセボとの差がつきませんでした [2] 。このカプセルは1つが乾燥エキス90mgで、アピゲニンは1錠あたり2.5mg以上と規格化されていました [2] 。
  • 12件の比較試験を集めた2019年の報告では、睡眠の質の指標はプラセボより良かったと報告されている一方、不眠そのものを評価した試験は1件だけで、その1件では不眠の重症度の指標に差が出ていません [3] 。
  • 飲んだあと血液にどれだけ入るかを人で測った2006年の研究では、パセリから食べた場合の血中最高濃度は平均127ナノモル毎リットル、そこに達したのは平均7.2時間後でした。24時間の尿に出てきた量は食べた量の0.22%です [4] 。
  • 2026年には、マウスにアピゲニンとマグネシウムを組み合わせて与えた研究が出ています。通常のマウスで44%、カフェインで眠りを妨げたマウスで32%、薬剤で不眠にしたマウスで37%、睡眠時間が長くなったと報告されています [5] 。対象はマウスです。

取り入れ方のヒント

  • カモミールティーから取り入れる場合、成分の量は製品でそろっていません。市販22製品を測った研究では総フラボノイド量が0.17〜0.55%と幅があり、ティーバッグではアピゲニン7-グルコシドの量が薬局方の基準に届かないものが多かったと報告されています [6] 。花のままの茶葉のほうが、量はそろいやすいことになります。
  • サプリで見かける「1回50mg」は、人での睡眠試験から出てきた数字ではありません。数字の出どころはアピゲニンとは? カモミールの成分と、寝る前50mgという数字の出どころで追いかけています。
  • 2024年に睡眠のサプリを整理した報告が扱ったのは、バレリアン・ホップ・カバ・ジャーマンカモミール・チェリー・トリプトファン・テアニン・メラトニン・マグネシウム・亜鉛でした [7] 。アピゲニン単体はこの一覧に入っていません。
  • 就寝と起床の時刻をそろえる、寝る前の強い光やカフェインを避けるといった習慣は、寝つきが気になるときのページにまとめています。