プラズマ乳酸菌は免疫と関係するの?

健康な大人にこの菌をとってもらい、血液の免疫細胞と体調を比べた試験が複数あります。2025年11月に出た解析は、そのうち8本の比較試験を集め、7本からは参加者ごとの元データを取り寄せて同じ条件で解析し直したものです [1] 。

619人のデータで、pDCという細胞の活性の目印がプラセボ群より高く保たれ、555人のデータで咳と熱っぽさの累積日数が28日あたり0.69日と0.26日少なかった、という結果でした [1] 。個々の試験では、冬の10週間に213人が参加した2015年の試験が代表で、ヨーグルト群で咳と熱っぽさの日数が少なかったと報告されています [2] 。

なぜ免疫と関係するの?

pDCは血液の中にごく少数いる免疫の細胞で、ウイルスが入ってくるとインターフェロンという物質を大量に作り、周りの細胞に知らせます。プラズマ乳酸菌は、このpDCを直接活性化する菌として見つかりました。

2012年の研究では、球形のこの菌がpDCを活性化してインターフェロンを作らせること、菌のDNAを感じ取るTLR9という受容体を通る仕組みが報告されています [3] 。DNAは菌が死んでも残るため、製品には加熱殺菌した菌体が使われています。2013年には人の血液から取り出したpDCでも同じ活性化が確かめられ、この菌で発酵させたヨーグルトを飲む比較試験で血液中のpDCの活性が高く保たれました。もともとpDCの活性が低い人で差が大きかったと書かれています [4] 。

腸の中を通る菌が、腸のかべの内側にいるpDCにどう届くのか、その道すじの細かい部分は、人ではまだ確かめきれていません。

腸の中を流れてきたプラズマ乳酸菌の粒が腸のかべにふれ、かべの内側にいるpDCがインターフェロンを放つ様子を示した図。人でこの道すじを直接たどった研究はなく、血液のpDCの目印を測った試験が根拠です

研究では何が報告されている?

  • 2025年の解析(8本の試験・619人)で、pDCの目印であるCD86とHLA-DRの発現がプラセボ群より高く保たれたと報告されています [1] 。効果の大きさを表す標準化平均差は0.37と0.47で、小さめから中くらいの差です。555人で見た症状は、咳が28日あたり0.69日、熱っぽさが0.26日少ない結果でした。熱っぽさの95%信頼区間は−0.52日から−0.0038日で、上端は差がないところにほとんど接しています。著者6人のうち3人はキリンホールディングスの社員です。
  • 2015年の試験(213人・冬の10週間)で、ヨーグルト群では咳と熱っぽさの累積日数がプラセボ群より少なかったと報告されています [2] 。血液の細胞を不活化したインフルエンザウイルスにさらす実験では、ウイルスに対抗する因子ISG15が高い値でした。キリンと国立感染症研究所の共同研究です。
  • 大学の運動部の男性51人・13日間の試験で、強い練習を続けるあいだにpDCの目印CD86が高く保たれ、上気道の感染症状と疲れを記録した日数が少なかったと報告されています [5] 。
  • ベトナムの小学1〜3年生の試験では、上気道と消化器の感染症で学校を休んだ累積日数が少なかった(オッズ比0.57)と報告されています [6] 。2026年に出た同国の医療従事者の試験でも、4週間で発熱と疲れの日数が少ない結果でした [7] 。ただし日本の機能性表示食品は未成年を対象にしないため、子どもの結果は表示の根拠ではありません。
  • 軽症の新型コロナ患者100人を対象にした長崎大学などの試験では、あらかじめ決めていた主要な評価項目である8つの自覚症状の合計点に差がなかったと報告されています [8] 。副次的に見たウイルス量の減り方と嗅覚・味覚の症状では差が出ました。病気の人を対象にした研究で、健康な人向けの表示の根拠には使われていません。
  • これらの試験のほとんどに、開発元であるキリンの研究者が著者や資金提供者として関わっています。企業が自社の素材を調べること自体は自然ですが、独立した研究者による追試はまだ少ない成分です。

どのくらいの量が研究で使われている?

1日1,000億個です。運動部の試験では加熱殺菌した菌1,000億個をカプセルで [5] 、小学生の試験では同じ量を飲料で [6] 、2015年の試験ではヨーグルトの形でとっています [2] 。期間は13日から10週間までです。

機能性表示食品として初めて免疫の届出が受理されたのは2020年8月7日で、表示文は「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています」です [9] 。サプリの1日の量は4粒で1,000億個、原材料名には乳酸菌殺菌乾燥粉末とあります [10] 。試験で使われた量と、ラベルの量が一致しています。この菌がキリンの研究部門で31菌種125株のなかから見つかった経緯は、同社の解説に書かれています [11] 。

熱がある、症状が長引くというときは、食品で様子を見ずに医療機関を受診してください。免疫の働きを抑える薬を飲んでいる方、自己免疫の病気がある方、持病のある方は、使う前に医師・薬剤師にご相談ください。

成分の由来と、生きた菌ではないことの意味はプラズマ乳酸菌、ほかの成分との比べ方は免疫を保ちたいで扱っています。表示の読み方を掘り下げたコラムは「免疫ケア」の表示は何を確かめた表示なのかにあります。