ナットウキナーゼは血圧と関係するの?

人に飲んでもらって血圧を比べた試験は3本あり、結果は分かれています。

韓国で行われた8週間の試験では、降圧の治療を受けておらず上の血圧が130〜159mmHgだった86人に、ナットウキナーゼ2,000FUまたはプラセボを飲んでもらいました [1] 。プラセボと比べた変化の差は、上の血圧で-5.55mmHg、下の血圧で-2.84mmHg。北米の79人による8週間の試験でも、下の血圧が平均87mmHgから84mmHgへ下がりました。プラセボ群は87mmHgのまま変わらず、その差は統計的に有意でした [2] 。

米国の265人を中央値3年間追った試験が、期間も人数もいちばん大きいものです [3] 。こちらでは血圧に差がなく、動脈のかべの厚さ、血液の凝固と線溶、炎症のどの検査値にも有意な影響はありませんでした。

なぜ血圧と関係するの?

血圧に対して体の中で何が起きているのか、分かっていません。

ナットウキナーゼについて確かめられているのは、血液のかたまりの骨組みになるフィブリンを分解する働きです。健康な若い男性12人に2,000FUを1回飲んでもらった試験では、かたまりが溶けたときに出るD-ダイマーが6〜8時間後に上がり、凝固に関わる第VIII因子の活性が下がりました [4] 。1990年の日本の研究も、口からとったあとに、血液中でかたまりを溶かす働きの指標がおだやかに高まったと報告しています [5] 。

これは血液のかたまりの話で、血圧の話とは筋道が別です。韓国の試験は、血圧を上げる方向に働くホルモンの指標であるレニン活性がナットウキナーゼ群で低かったと報告していますが [1] 、なぜ酵素がレニンに関わるのかは説明されていません。試験が測っているのは血圧という結果のほうで、その手前で何が起きているかは確かめられていません。

血管の中でフィブリンの網にナットウキナーゼの粒がとりつき、糸をほどく様子を示した図。血圧との関わりの仕組みは分かっておらず、確かめられているのはこの分解の働きです

研究では何が報告されている?

  • 韓国の86人・8週間の試験で、プラセボと比べて上の血圧が5.55mmHg、下の血圧が2.84mmHg低かったと報告されています [1] 。95%信頼区間はそれぞれ-10.5〜-0.57mmHgと-5.33〜-0.33mmHgで、0に近い側の端は-0.57と-0.33。差がごく小さい可能性も残ります。完了したのは73人でした。
  • 北米の79人・8週間の試験で、下の血圧が87mmHgから84mmHgへ下がり、プラセボ群との差が有意だったと報告されています [2] 。上の血圧の低下は男性ではっきりしていて、血管の傷に反応するたんぱく質フォン・ヴィレブランド因子は女性で下がりました。
  • 米国の265人・中央値3年間の試験では、血圧を含むどの臨床・検査の指標にも有意な影響はなかったと報告されています [3] 。参加者は心血管の病気のない中央値65歳の人たちで、主要な評価項目だった頸動脈のかべの厚さの変化にも差はありませんでした。
  • 2本の短い試験は血圧が高めの人を集め、長い試験は健康な人を集めています。対象の違いが結果の違いに関わる可能性はありますが、それを確かめた研究はありません。

どのくらいの量が研究で使われている?

3本の試験とも、1日2,000FUです [1] [2] [3] 。北米の試験ではこれをカプセル100mgとして与えました [2] 。FUは重さではなく酵素の働きの強さの単位で、業界団体の日本ナットウキナーゼ協会も1日2,000FUを目安にしています [6] 。

同じ協会の資料では、市販の納豆1パック50gに平均1,500FUの活性があるとされています [6] 。ただし納豆にはワルファリンの働きを弱めるビタミンK2が多く、試験で使われたサプリはそれを除いた原料でした [2] 。食品とサプリで、注意する点が変わります。

血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方は、使う前に必ず医師・薬剤師に相談してください。血圧の薬を自分の判断でやめてサプリに置き換えるのは危険です。手術や抜歯を予定している方も、飲んでいることを事前に伝えておきましょう。

成分の由来とFUという単位の意味はナットウキナーゼ、血圧との向き合い方は血圧が気になるで扱っています。