まず押さえたいポイント

HMPAは、米ぬかやコーヒーに多いフェルラ酸を、腸内細菌が作り変えてできる物質です [1] 。日本では機能性表示食品の機能性関与成分として届出があり、1日23mgという量が示されています [4] 。

論文データベースEurope PMCで読めるのは、マウスと培養細胞の研究が中心です。

なぜ「体脂肪・代謝」と関係するの?

食べたポリフェノールは、そのままの形で吸収されるとはかぎりません。大腸まで届いたぶんは腸内細菌に分解され、別の物質に変わってから体に入ります。フェルラ酸からHMPAへの変化も、この流れの中で起きます [1] 。

2023年の研究は、HMPAがGPR41という細胞表面の受け皿に結びつくことを示しました。もとのフェルラ酸より結びつきが強かったこと、この受け皿を介して肝臓での脂質の分解に関わる遺伝子の働きが変わったことが報告されています [2] 。培養細胞とマウスで確かめられた範囲の話です。

米ぬかなどのフェルラ酸が腸内細菌によってHMPAに変わり、細胞の受け皿に結びつくと考えられていることを示した図

作り変えを担うのは腸内細菌の一部なので、同じものを食べても、できるHMPAの量には人による差があると考えられます。市販されている製品には米ぬかを発酵させた素材を使ったものがあり、この場合は腸内細菌による変換を待たずにHMPAそのものを口から入れることになります。

研究では何がわかっている?

  • 高脂肪食で太らせたマウスにフェルラ酸を与えた2019年の研究では、体重の増え方と肝臓への脂肪のたまり方がおさえられ、インスリンの効きが良くなったと報告されています [1] 。著者らは、この変化をフェルラ酸そのものではなく腸内細菌が作るHMPAによるものとしています。
  • 腸内細菌の側にも変化がありました。同じ2019年の研究でHMPAを与えたマウスでは、バクテロイデーテス門が増え、ファーミキューテス門が減ったと報告されています [1] 。この2つの門の比率は肥満との関係が長く議論されてきた指標で、比率が変わったこと自体が体重の変化を説明するわけではありません。
  • 体のどこに結びつくのかを調べたのが2023年の研究です。HMPAがGPR41という受け皿に結びつくことと、その結びつきがフェルラ酸より強いことが示されました [2] 。培養細胞とマウスを使っています。
  • 筋肉を測った報告もあります。マウスにHMPAを14日間与えた2024年の研究では、握力が高くなり、疲れ切るまで運動したあとの血中尿素窒素が低かったとされています [3] 。走り続けられる時間には差が出ていません。

日本での届出はどうなっている?

2026年2月に届け出られたある飲料では、機能性関与成分がHMPAで、1日摂取目安量あたりの含有量は23mgです。届出表示は「BMIが高めの方の内臓脂肪やウエスト周囲径を減らすのを助ける機能が報告されています」となっており、科学的根拠の区分は最終製品ではなく成分についての研究レビューです [4] 。

機能性表示食品は、事業者が根拠を販売前に消費者庁へ届け出る制度で、国が個別に審査して許可を出すものではありません [5] 。パッケージの届出番号を消費者庁の検索ページに入力すれば、提出された資料を読者自身が読めます。なお、この研究レビューが集めた人での試験は、論文データベースEurope PMCでは見あたりませんでした(2026年9月時点)。

取り入れ方の目安

  • 届け出られている量は1日23mgです。表示にこの数字があるかを確かめます。
  • もとになるフェルラ酸は、玄米やコーヒーからも日常的にとれます。ただし、そこからHMPAができる量は腸内細菌しだいで、食事だけで届出の23mgに相当する量が体内にできるかは分かっていません。
  • 腸内細菌の顔ぶれで作られる量が変わると考えられるため、同じ量をとっても体の中の濃度は人によって違う可能性があります。
  • 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、薬を飲んでいる方は、利用前に医師・薬剤師にご相談ください。