マルトビオン酸は便秘と関係するの?

健康な日本人女性を対象にした、二重盲検のクロスオーバー試験があります [1] 。マルトビオン酸4gを含む食品とプラセボをそれぞれ4週間とったところ、マルトビオン酸のほうで排便回数が有意に増え、便の形の尺度と便通の質問票(CAS-MT)の合計点も良かったという結果です。完了した34人のうち、基準に合わない10人を除いた24人が解析されました。

原料メーカーのサンエイ糖化は、もう1本の試験も紹介しています。排便が週3〜5日の便秘傾向の健康な女性に、1日0.8gまたはマルトース水あめを4週間とってもらい、排便日数・排便量・便の形を比べたもので、解析対象は24人です [2] 。こちらの原著は日本語の学術誌に載っています。

2本とも同じメーカーが関わる試験で、参加者は健康な成人女性に限られています。

なぜ便通と関係するの?

便通を動かす仕組みは、まだ確かめられていません。この糖は消化されずに大腸まで届きます。そこまでは確かです。

だ液・胃液・すい液のどれでも、試験管では消化されませんでした。小腸の酵素でもわずかに分解されるだけです [1] 。健康な女性10人が10gをとった試験では、食後の血糖とインスリンが上がらず、尿に出る量もごくわずかでした [3] 。

大腸に届いたあとの働きになると、研究によって結果が分かれます。腸内細菌24株を調べた試験管の実験では、ビフィズス菌の2種がこの糖を選んで使いました [1] 。27人の人の試験では、フェカリバクテリウムという有用菌の割合が増え、別の菌がグルコン酸の部分を作り変えて受け渡すという菌どうしの関係が示されています [4] 。ラットでは、飼料のカルシウム源をマルトビオン酸カルシウムに置き換えると盲腸の短鎖脂肪酸が高くなりました [5] 。一方、人の呼気中の水素は8時間ほとんど検出されず [3] 、腸内で発酵する量は限られているとも読めます。試験が測っているのは排便の回数と便の形という結果のほうで、その手前の仕組みは研究の途中です。

マルトビオン酸が小腸で消化されずに大腸まで届き、腸内細菌のそばに来る様子を示した図。便通にどうつながるかの仕組みは確かめられていません

研究では何が報告されている?

  • 健康な日本人女性の4週間のクロスオーバー試験で、マルトビオン酸4gをとった期間はプラセボより排便回数が有意に多く、便の形の尺度とCAS-MTの合計点も有意に良かったと報告されています [1] 。試験食による有害事象はありませんでした。
  • 便秘傾向の健康な女性に1日0.8gを4週間とってもらった原料メーカーの試験で、排便日数・排便量・便の形を比べたと紹介されています [2] 。原著は日本語の学術誌に載っており、解析対象は24人です。
  • 消化されにくさについては、試験管でだ液・胃液・すい液に消化されず、人が10gをとっても血糖とインスリンが上がらなかったと報告されています [1] [3] 。
  • 腸内細菌との関わりは、ビフィズス菌2種による選択的な利用(試験管)と、27人でのフェカリバクテリウムの増加が報告されています [1] [4] 。人で呼気中の水素がほとんど検出されなかった結果 [3] とは一致せず、腸内でどれだけ使われるかは定まっていません。
  • 便通を調べた2本の試験は、いずれも原料メーカーのサンエイ糖化が関わっています [1] [2] 。別のグループによる追試は見あたりません。

どのくらいの量が研究で使われている?

便通を調べた試験で使われたのは1日4gと0.8gで、期間はどちらも4週間です [1] [2] 。5倍の開きがありますが、量を変えて比べた試験はなく、どの量から違いが出るかは分かりません。

日本では機能性表示食品の関与成分として使われており、2026年9月22日に発売されるアサヒ飲料の製品にも「お通じ改善をサポートする機能、食事に含まれるカルシウムの吸収を促進する機能が報告されています」という届出表示が付きます [6] 。1本あたりの成分量はニュースリリースには載っていないので、パッケージの表示で確かめてください。

消化されにくい糖のため、量や体質によってお腹がゆるくなることがあります。少ない量から試し、製品の表示量を超えないようにしてください。便秘が長く続く、血が混じる、強い痛みがあるといった場合は、サプリより先に医師に相談してください。

成分の由来と体の中での道すじはマルトビオン酸、便通との向き合い方は便秘で扱っています。