まず押さえたいポイント

ポストバイオティクスは、生きていない菌の体や、その成分をまとめた呼び名です。2021年に国際学会が定義をそろえました [1] 。

言葉の整理は進んだ一方、人での比較試験では主要な評価項目に差がつかなかった報告が続いています。

なぜ「お腹の調子・腸内環境」と関係するの?

菌が生きていなくても、菌の体の表面にある膜や、中にある成分は残ります。腸に届いたそれが腸のかべの細胞にふれ、その下にいる免疫の細胞にも伝わる。この道すじで研究されています [3] 。

生きた菌を使わないため、保存や製造がしやすく、飲んだ菌が生きたまま腸に届くかどうかを気にしなくてよい点が利点として挙げられています [3] 。

加熱などで生きていない状態にした菌が、そのままの形で腸に届き、腸のかべの細胞にふれることを示した図

研究では何がわかっている?

  • 2021年、国際学会ISAPPがポストバイオティクスを「生きていない微生物やその構成成分の調製物で、宿主に健康上の利益をもたらすもの」と定義しました。生きていない菌体、またはその成分が含まれていることが条件です [1] 。定義を出した研究者らは、市販品や論文での言葉の使い方がそろっていないことも指摘しています [2] 。
  • 便秘の悩みがある45〜75歳の100人に、加熱して生きていない状態にした乳酸菌2種の発酵乳を4週間とってもらった試験では、あらかじめ主要な評価項目と決めていた1週間あたりの自発的な排便回数の変化に、プラセボとの差がつきませんでした。副次的な項目の多くでも差はみられていません [4] 。
  • 太りぎみの成人120人に、加熱して生きていない状態にした乳酸菌を12週間とってもらった試験でも、全体で見るとどの評価項目にもプラセボとの差はつきませんでした。もともと腸内細菌の種類が少なかった人だけを取り出した解析では体重やBMIの下がり方に差がみられていますが、あとから部分集団を取り出した解析であることに注意が必要です [5] 。

言葉の定義が先にそろい、効果を確かめる試験があとを追っている。ポストバイオティクスはいまその段階にあります。

取り入れ方のヒント

  • 「ポストバイオティクス」は分類の名前です。製品を比べるときは、中身の菌の種類と量を表示で確かめると違いが見えます。
  • 腸内環境については、食物繊維や発酵食品を含む食事全体のほうが先に調べられています。お腹の調子・腸内環境のページに考え方をまとめています。
  • 便通の異常が続くときや、血が混じるようなときは、医療機関にご相談ください。