まず押さえたいポイント

年齢を重ねると、人の名前が出てこない、置いた場所を忘れる、といったもの忘れが気になりはじめます。イチョウ葉は、こうした加齢に伴うもの忘れや記憶の働きとの関係で、何十年も前から研究の対象になってきた植物成分です。

ただし、研究が長く続いてきたことと「はっきり役立つ」ことはイコールではありません。現時点では、イチョウ葉が認知症を防いだり、低下した記憶をもとに戻したりするという確かな裏づけは確立していません

ぜ昔から記憶との関連で研究されてきたの?

脳は体のなかでもとくに多くの血液を必要とする器官で、酸素や栄養は血のめぐりにのって届けられます。そのため、めぐりは頭の働きを支える土台のひとつだと考えられてきました。

イチョウ葉に含まれるフラボノイドなどの成分は、この体のめぐりや抗酸化(体の“サビつき”をおさえる働き)に働くと考えられ、ここから「年齢による記憶の衰えと関係するのでは」という発想で研究が積み重ねられてきました。

イチョウ葉の成分が体のめぐりや抗酸化を通じて脳の働きを支えるイメージ

研究では何がわかっている?

研究の蓄積は多いものの、結果はそろっておらず、評価はむしろ慎重です。

  • もの忘れや認知症に対するイチョウ葉エキスについて、多くの試験を統合して評価した信頼性の高い研究のまとめがあります [1] 研究ごとに結果のばらつきや質のちがいがあり、有効性については明確な結論には至っていないと整理されています。
  • アミロイドという物質が脳にたまり始めた段階の、軽い記憶の不調がある高齢者を約1年半さかのぼって調べた小さな研究も報告されています [2] イチョウ葉エキスを使った人は経過が安定していた例が多かったとされますが、人数が35人と少なく、前もって計画された比較試験ではない点に注意が必要です。
  • 過去およそ20年の研究をふり返って整理した報告では、効果の大きさは小さく、研究ごとのばらつきも大きいと述べられています [3]

こうした研究をならべて見ると、「役立つとも役立たないとも言い切れない」状態が長く続いているのが実情です。

取り入れ方のヒント

  • 研究では「標準化エキスとして1日120〜240mg程度」を用いた例があり、高齢者を対象にした研究では1日240mgが使われた例もあります。選ぶときは、エキス量や「標準化」の記載を確認するとよいでしょう。
  • もの忘れが急に進む、日常生活に支障が出る、といった場合は、サプリで様子を見るより先に医療機関に相談するのが安心です。
  • 秋に実る「ぎんなん」とイチョウ葉エキスは別ものです。生の葉や種を自己判断で多くとるのは避けてください。