「コラーゲンを飲んでも、どうせ消化でバラバラになる」。よく聞く話で、前半は事実です。ただ、飲んだ人の血液を実際に測ってみると、全部がバラバラの粒になっていたわけではありませんでした。口に入れたコラーゲンが体の中をどうたどるのか、測定の記録から追いかけます。

消化で細かく切られる途中、2つつながったかけらが残ります。
消化で細かく切られる途中、2つつながったかけらが残ります。

消化でバラバラになるのは本当

コラーゲンはたんぱく質の一種です。胃と腸で消化酵素に切り刻まれ、アミノ酸や、アミノ酸が2〜3個つながった小さなかけら(ペプチド)になってから吸収されます。この点は肉や魚のたんぱく質と変わりません。飲んだコラーゲンがその形のまま肌の組織に運ばれて貼りつく、という説明は成り立たないわけです。

長い文章を一字ずつ切り離していく作業を想像してみてください。ほとんどは一文字になりますが、切り分けの現場では、2文字の単語がいくつかつながったまま残ります。

血液を調べたら、2つつながったかけらが残っていた

コラーゲンを細かく切った分解物を飲んだ人の血液を分析した研究があります。プロリルヒドロキシプロリン(Pro-Hyp。プロリンとヒドロキシプロリンという2つのアミノ酸がつながったかけら)は5人全員から検出されました。さらに、ヒドロキシプロリルグリシン(Hyp-Gly)というかけらが4人から見つかっています。Hyp-Gly は血液中の分解酵素に対して Pro-Hyp より残りやすく、両者の量の比は人によって0〜5倍と開きがありました [1]

「口から入ったコラーゲンは、すべてアミノ酸1個ずつになる」とは言い切れない。ここが「意味がない」説の見直しどころです。

そのかけらは、細胞に何をする?

培養したヒトの皮膚の線維芽細胞(真皮でコラーゲンやヒアルロン酸作る細胞)に Pro-Hyp を加えた実験では、細胞の増殖が約1.5倍、ヒアルロン酸の合成が約3.8倍になり、合成を担う遺伝子(HAS2)の働きも高まったと報告されています [2] かけらが細胞にとっての合図として読み取られた、という見方です。

ただし、これはシャーレの中で細胞に直接ふりかけた結果です。血液に入ったかけらが皮膚までどれだけ届き、そこで同じことが起きるのかは、この実験からは分かりません。

消化のされ方は製品によって違う

市販のコラーゲンペプチド製品を、胃腸の消化を再現した装置にかけて比べた実験では、分解の進み具合も、分子の大きさの分布も、線維芽細胞の反応も製品ごとに差がありました。消化を通すとどの製品もさらに細かく分解されますが、その程度にも差があります [3]

血液への現れ方にも差が報告されています。魚の皮由来のゼラチンを特定の酵素で切った低分子タイプでは、飲んでから2時間までの血中トリペプチド(Gly-Pro-Hyp。3つつながった形)の量が、一般的なコラーゲンの約54倍だったという予備データが示されました。この製品を1日1000mg・24週間とる114人の比較試験もあわせて行われています [4] ひとつの製品についての数字であり、「低分子と書いてあれば同じ」という話ではありません。

「体の中でどうなるか」と「肌がどう変わるか」は別の問い

吸収の道すじが見えてきたことと、肌の状態が変わるかどうかは、それぞれ別に確かめる必要があります。血液にかけらが現れたからといって、肌で何が起きるかまでは決まりません。

肌側を調べた研究をまとめると、19件・計1341人の報告では、うるおいや明るさで前向きな結果が示された一方、弾力や密度では結果が一貫していません [5] この判定と選び方は コラーゲンは”肌のハリ”にどこまで期待できる? に、成分そのものの解説は コラーゲンの基礎ページまとめています。

「分解されるから意味がない」も「飲めば肌のコラーゲンになる」も、長い道すじの一場面だけを切り取った言い方です。血液に何が現れるかを測るところまでは進み、皮膚で何が起きるかはこれから。今の研究がどこまで来ているかを知っておくと、製品の説明を読むときに、確かめられている部分とそうでない部分を自分で分けられます。